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仮想通貨のウォレットは、取引を行った後に保有通貨を保管しておくための場所。普段現金を入れて持ち歩いている財布のようなものです。そのため、安全に管理し続けるためにはハッキングや情報漏えいなどに注意しておく必要があります。今回は、そんな危険から通貨を守る、セキュリティ対策に定評のある3つのウォレットアプリを紹介します。それぞれに備わった便利機能も合わせてチェックし、用途に沿ったアプリを選んでみましょう。
複数のウォレットをまとめて持つなら「Copay」
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Copayは、ビットコインのウォレットアプリです。対応する通貨の種類は少ないものの、セキュリティに力を入れており、本アプリではマルチシグネチャを採用しています。マルチシグネチャとは、1つのウォレットに複数のプライベートキーを紐づけるシステムのことです。仮に1つのプライベートキーが外部に流出してしまっても、他のキーがなければ通貨の送付などは行えないため、安全性が保たれやすくなります。さらに、対応するお店で送金をした場合に送付先の正当性を証明する、ペイメントプロトコルも装備しています。その他、複数のウォレットを1つのアプリ内で同時に管理できるのもCopayの大きな特徴です。家族内でアカウントを共有したり、アプリ内でビジネス用とプライベート用とを分けて管理したりと、使い方は自由自在。用途に合わせて便利に使えます。
シンプルでとにかく使いやすい「Bread」
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こちらも、ビットコインに特化したウォレットアプリです。Breadは、ウォレットの基本である送金・受け取りのみに機能を絞っているため、操作もとても簡単。日本語にも対応済みで、初めてウォレットアプリを利用するという方でも使いやすいシンプルな仕様となっています。セキュリティ対策として、パスコード・指紋認証に加え復元フレーズの作成機能があります。アプリ使用開始時にこの復元フレーズを作っておけば、端末の故障・変更でアプリが消えてしまっても、再度ウォレットを元の状態に戻すことが可能です。また、外部からの侵入に強いシステム構築もBreadの強みです。通常のウォレットはサーバーを通じ通貨ネットワークに接続されますが、Breadの場合は直接ネットワークに接続されます。そのため、サーバーが外部から何らかの攻撃を受けても保有通貨に被害が及びません。プライベートキーと端末そのものをきちんと管理すれば、高い安全性を保持できます。
オリジナル機能を搭載する「Mycelium」
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Myceliumは、iOS版アプリでは日本語に対応していません(2018年2月現在)。また取り扱い通貨もビットコインのみではありますが、オリジナル機能として「コールドストレージ」を採用しています。これはオフライン環境でウォレット管理ができる機能で、ハッキングによる保有通貨の悪用を防ぐ役割を果たします。使用手順は少なく簡単です。あらかじめ保管したい通貨のQRコードをペーパーなどで用意しておき、アプリを開くと表示されるコールドストレージのボタンを押して読み取ります。すると、このQRコードそのものがプライベートキーとなり、アクセス可能になるという仕組みです。オフラインであることから、端末が紛失しウォレットが復元不可能となる事態に備え、バックアップをとっておくこともできます。メイン画面の「Back up now」というボタンを押すと順に出てくる12個の単語を紙などにメモするだけです。メモは、人目の付かない場所に保管しておくと良いでしょう。
ウォレットアプリを上手に活用しよう
手軽に使えて持ち歩きにも便利なウォレットアプリですが、それ1つで全て管理すれば必ずしも完璧というわけではありません。過去には取引所の倒産やハッカーによる盗難で大きな損失を出した保有者もおり、慎重に管理することが重要。ペーパーウォレット・ハードウェアウォレットなど様々な保管方法と組み合わせ、より便利・安全にウォレットアプリを使いこなしましょう。今回紹介したアプリもぜひ参考にしてみてください。