日本の電子出版を長らくリードしているのが、マンガ・コミックです。株式会社インプレスの調査によれば、2015年の電子出版市場は1584億円で、8割にあたる1277億円がコミックです。スマートフォンでの無料マンガアプリの利用率は、スマートフォンユーザーの28%以上で、1日に1回以上視聴する人が3割以上、1週間に1回以上視聴する方は6割以上になっています。また、無料マンガアプリの広告料は2016年度に80億以上と予測されており、無料マンガアプリが電子出版市場、スマホ市場において、大きな位置をしめていることがわかります。
女性の読者も取り込んでいます
スマホアプリの視聴行動を調査している「ニールセンデジタル株式会社」の2017年のデータによれば、200万ユーザーを超える大型アプリは、「LINEマンガ」「COMICO」「マンガワン」の3誌が圧倒的な人気を誇っています。特に「LINEマンガ」「COMICO」は女性が主要読者になっています。「ビッグコミックスピリッツ」は、「LINEマンガ」などのように、総合マンガサイトではありませんが、男性誌としては、ビッグコミックシリーズ全般にいえることかもしれませんが、女性にも受け入れやすい作品が多くなっています。スマホで利用できるので、女性ユーザーにも抵抗なく受け入れられます。
iPad版スナップショット:筆者撮影
懐かしい作品が再び光をはなちます
ビッグコミックスピリッツは1980年に創刊された、小学館の青年向けコミック誌で、86年以降週間化されて発行されています。その作品の中にはアニメ化されたり、実写ドラマ化されたヒットコミックもたくさんあります。代表的な作品に、「美味しんぼ」「めぞん一刻」「東京ラブストーリー」「あすなろ白書」「クロサギ」などがありますが、皆さんも人生のどこかで、若い頃、これらの作品にお世話になった方も多いと思います。マンガから遠ざかっていた方も、もう一度、スマホを通じて、名作をご覧になってはいかがでしょう。人生の出来事のいくつかが再び、懐かしく、よみがえるかもしれません。
iPad版スクリーンショット:著者撮影
リニューアルを続けるコミック業界
もちろん、古い作品だけでなく、新作も目白押しです。雑誌版ビッグコミックスピリッツは2008年に、「週刊ヤングサンデー」が休刊した時に、同誌の作品を取り込み、それまでの読者層を少し、ヤング向けに変更しました。表紙デザインもそれまであまり使われていない、アイドルの水着姿なども導入し、リニューアルを図っています。「土竜の唄」は「週刊ヤングサンデー」から移籍したもので、その他にも「月刊スピリッツ」から移籍した「恋は雨上がりのように」といった作品で、リニューアルを図っています。日本雑誌協会のデータによれば、紙の「ビッグコミックスピリッツ」は、ここ10年間で、発行部数は半減し、約15万部になりましたが、「eBookjapan」から発行されている、PC版「ビッグコミックスピリッツ」と、アプリ版「ビッグコミックスピリッツ」を合わせると、雑誌版とは異なった、新たな可能性を見ることができます。
iPad版スクリーンショット:著者撮影
進化するアプリ版「ビッグコミックスプリッツ」
アプリ版「ビッグコミックスプリッツ」は、iOS(iPhone・iPad)、Android版が用意され、幅広いユーザーを取り込んでいます。このアプリに限りませんが、コミック関連のアプリは、読者が飛びつきやすい仕組みを用意しています。具体的には「無料で読める範囲」や「広告のあり・なし」「ビジュアルインタフェースの出来具合」等が重視されます。アプリ版「ビッグコミックスプリッツ」では、試し読み機能などを取り入れて読者に訴求しています。
iPad版スクリーンショット:著者撮影