遺伝性血管性浮腫(HAE)患者向けアプリ「HAEノート」の使い方&病状記録方法
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- 患者本人はもちろん家族も知っておきたいアプリ「HAEノート」
- HAEノートで何ができるの?
- HAEノートを使うには?インストール方法を解説
- HAEノートの機能と使い方
- 「HAEノート」でしっかり対策を
目次
今回紹介するスマートフォン用アプリは、「HAEノート」です。HAEノートとは、「遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema:HAE)」の患者さんと、その家族のために作られた専用のアプリです。どのようなアプリなのか、紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください。
画像:著者撮影
患者本人はもちろん家族も知っておきたいアプリ「HAEノート」
アプリのタイトルにも付いている「HAE」とは、「遺伝性血管性浮腫」という病気の名前です。遺伝性血管性浮腫は、国が定める指定難病のひとつで、英語で表記すると「Hereditary angioedema」になります。これを略して、「HAE」となります。
HAEの症状は、皮膚や粘膜などが腫れたりむくんでしまうという症状です。腫れやむくみは、顔や手だけではなく消化器などの身体中のあらゆる場所で発生します。腫れやむくみだけではなく、激しい痛みが発生することもあります。
発症するのは突然ですが、遺伝性の病気なので家族にも症状が出る可能性がある病気です。まだまだ知られていない病気ですが、5万人に1人の割合で発症すると言われており、国内推定患者人数は2,500人以上いると言われています。しかし、その症状は慢性的に発生し、数日で収まることが多いため、実際に治療を受けている患者はたったの450人程度しかいません。
HAEノートの基本機能
「HAEノート」は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者さんだけではなく、その家族にも使ってほしい「症状記録アプリ」です。
HAEは、患者によって症状の強さや頻度が異なるため、病院でも治療が難しい病気です。そこで重要となるのが、その症状の詳細を患者自身が理解できているか、医師に伝えられているかです。
HAEの発作の頻度や発生した部位などを細かく記録することで、患者も医師も症状をより具体的に把握できるようになります。そこで、使ってほしいのが、HAEノートです。症状が出た時に、カメラで記録するだけでいいので気軽に使ってみてください。そして、ぜひ医師に相談する時にアプリの中の記録を見せてください。きっと役に立つはずです。
別の使いかたとして、周りの人に「HAE」と言う病気を知ってもらうきっかけにすることも可能です。HAEノートを使用するのに会員登録は必要ありません。ダウンロードするだけですぐに使うことができます。
医師や患者会のNPO法人が監修・開発協力を行ったアプリ
2017年5月9日にHAEに関するサイト「腫れ・腹痛ナビ遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト」が公開されました。この「腫れ・腹痛ナビ遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト」を運営している企業は、病気と向き合う人たちの健康管理を支援する会社ウェルビーです。
そして、株式会社ウェルビーが、希少疾患や特殊疾患のリーディング・カンパニー「シャイアー・ジャパン株式会社」と共に開発したアプリが「HAEノート」です。
アプリの監修を担当したのは、埼友草加病院の院長大澤勲先生です。
他にも、広島大学皮膚科学教授秀道広先生、九州大学病院別府病院病院長堀内孝彦先生の協力で作られています。このように、医師やNPO法人が監修と開発をしているため、きちんとしたアプリなのか不安だという方も、安心して使用できるのではないでしょうか。
HAEノートで何ができるの?
画像:著者撮影
「HAEノート」を使ってできることは、大きく分けて4つになります。
HAEノートでできること
「HAEノート」を使ってできることは、「HAEの症状の記録」がメインです。HAEノートの目的は、患者の症状を記録することでHAEの方の未診断を減らすことです。また、周りの方にもHAEがどのような病気かを伝えやすいように作られています。
HAEノートを使って、症状を記録したあとは、グラフで症状の記録を見ることも可能です。遺伝性の病気のため、ファミリーツリーを作成することで、親族がHAEにならないかどうかチェックする際にも役に立ちます。
HAEノートを使うには?インストール方法を解説
画像:著者撮影
「HAEノート」のダウンロード・インストールの方法について紹介します。ぜひ、ダウンロードしてみてください。
HAEノートのダウンロードとインストールの方法
HAEノートの正式名称は、「HAEノート~遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者さんのための症状記録~」です。
アプリは、誰でも無料でダウンロード可能で、会員登録も必要ありません。アプリに入力した情報は、自分のスマートフォンにだけ記録・保存されるため安心して使うことができます。家族でアプリが必要な場合は、それぞれダウンロードする必要があります。
では、ダウンロードとインストールの手順を紹介します。
- 自分のスマートフォンが対象となっているか確認しましょう。Androidは5.0以降、iOSは9.0以降のバージョンのOSが必要です。もし、自分のスマートフォンが対応していないバージョンであれば、OSのバージョンアップが必要となります。OSのバージョンアップは、メーカーごとに違いますので、契約したスマートフォンメーカーに確認してください。
- iPhoneの方はApp Store、Androidの方はGoogle Playストアにアクセスして「HAEノート」と検索しましょう。HAEノートが検索結果に出てきたら、タップしましょう。
- HAEノートの「インストール」をタップします。インストールが開始したら完了までそのままにします。これで、アプリ「HAEノート」のダウンロードが完了し、アイコンがスマートフォンの中に作られます。
- 「HAEノート」のアイコンをタップして、アプリを起動しましょう。
遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト「腫れ・腹痛ナビ」のページ内にある「患者向けアプリHAEノート」をクリックし、アプリのダウンロードと使用方法というページが開きます。
ここからダウンロードページに進むこともできるので、やりやすい方法でダウンロードしてください。以上が、HAEノートのダウンロードとインストールの方法です。ぜひ、試してみてください。
HAEノートの機能と使い方
画像:著者撮影
HAEノートの機能は大きく分けて4つですが、それぞれの使い方について紹介します。ぜひ、チェックしてみてください。
症状が現れたら撮影をする
HAEの発作が現れたら、アプリを起動して記録します。記録の方法は、スマートフォンのカメラで症状が出た場所を撮影するだけです。症状を記録することで、発作についてさらに詳しく知ることができるようになります。
症状の強さや治療の有無を記録する
HAEの症状を記録する際に、カメラで撮影するだけではなくさらに詳細に残すことも可能です。その場合には、症状が出た部位がどこかを選択します。また、発作の強さがどれくらいか、治療はしたか…というさまざまな選択肢を選んでデータを記録しましょう。
気になることがあれば、メモに残しておきましょう。
グラフやカレンダーで症状を確認する
症状を記録したら、そのデータを使ってグラフを表示することができます。
過去の発作の回数や、症状、写真、メモなどを簡単に見ることができます。医師にどう伝えていいかわからないという方は、ぜひ活用してください。
ファミリーツリーを作成しておこう
ファミリーツリーとは、家系図のことです。ファミリーツリーの作成は、家族を守ることにつながります。
遺伝性の病であるHAEは、発症がわかった時に「どれだけ早く家族に伝えるか、家族に発作が起きてしまう前に診断を受けるか」が重要な病気です。その際に、ファミリーツリーを利用すれば、家族や親族の診断状況を一目で確認することができます。診察時に、医師にファミリーツリーを見てもらえば、より適切なアドバイスを受けることができるでしょう。
HAEをもっと多くの人に知ってもらおう
HAEアプリでは、「HAEを伝える」というメニューで簡単にHAEについて伝えることが可能です。ファミリーツリーの作成時にも、親族にムービーを使って伝えることができるので、おすすめの機能です。身近な人に、HAEとはなんなのかをメールやLINEで伝えましょう。
「HAEノート」でしっかり対策を
HAEは、まだまだ一般に知られていない病気です。そのため、医師に伝えるときや周りの人に伝えるときに、困ってしまう方も少なくありません。しかし、この「HAEノート」を使えば、簡単にデータを記録しておくことができます。医師や家族など周りの人に伝える際にも、伝えやすくなります。
ノートなどを自分で作って記録するのは、大変です。どんなことを書いておいたらいいのかも、情報がありません。このアプリを使えば、写真を撮って気になることはメモをするだけでいいので、便利で高機能な記録が可能です。
また、医師に説明する際にも、便利なアプリです。ぜひ、HAEの患者さんや家族の方は、このアプリを活用してみてはいかがでしょうか。
もし、周囲の方でHAEになった、心当たりがある、という場合にも無料でダウンロードできるので、興味のある方も一度ダウンロードしてみてください。
HAEが広まれば、自分が何か病気かもしれないと悩んでいる方を救うことができるかもしれません。