トーンカーブってどう使う?写真加工でハイクオリティーにするアプリとは?
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- そもそもトーンカーブって何?
- トーンカーブ初心者におすすめ「3点打ち」を駆使しよう
- 写真が際立つトーンカーブの作り方
- プロ並みの写真加工ができる!おすすめアプリ4選
- トーンカーブを使ってプロのような写真に加工しよう
目次
スマホで写真を撮った時、撮った写真が明るすぎたり暗すぎたり、あるいは色の濃淡が足りないと感じた時、みなさんはどうやって補正していますか?
そんな時は画像編集アプリを使って、明るさや色合いを調整したりすることでしょう。
でも明暗や彩度などを別々に補正するのは意外にめんどうですし、なかなか満足いく結果にならないことも多いのではないでしょうか。
そんなとき「トーンカーブ」という機能を使うと、簡単に直感的に、画像を補正することができます。
今回は、写真加工のための「トーンカーブ」についての説明と、この機能を持ったアプリを4つ紹介します。
(画像出典:https://itunes.apple.com/jp/app/maxcurve/id1048026594)
そもそもトーンカーブって何?
みなさんは「トーンカーブ」という言葉を聞いたことがありますか?
パソコンやスマホなどのデジタルグラフィックではRGB、つまり光の3原色という、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の3色を混ぜあわせて自然界の色を表現しています。
3つの色はそれぞれ256の“階調”で表現されるので、あわせて約1,670万色が表現できます。
そしてこの256段階の“階調”を、横軸に「入力前:補正前」、縦軸に「入力後:補正後」と取って“線グラフ”で表したものが「トーンカーブ」です。
言葉ではわかりにくいので、画像例を見てください。
以下、「Adobe Lightroom CC」というアプリを使って、トーンカーブの説明をします。
(画像:著者撮影)
トーンカーブは、画像に何の補正も加えていない初期状態では右上がりの“直線”になっておりこれが基準です。
この直線上の適当な部分を指で上下に動かして、画像を補正します。
試しに、直線の真ん中あたりを指で動かしてみてください。
例では上に動かしていますが、画面が明るくなっているのがわかるでしょう。
このように明るさやコントラストを“同時に”調整するのがトーンカーブを使った画像補正です。
R・G・Bの各チャンネルをまとめて調整すると「明暗・コントラスト」を、別々に調整すると「色具合」の調整ができ、このふたとおりの使い方ができます。
トーンカーブ初心者におすすめ「3点打ち」を駆使しよう
(画像:著者撮影)
初めてトーンカーブに接する人は、まずどこか1点を上下に動かしてみましょう。
直線上のどこか1点をタップすると、線上に“ドット”が現れます。
このドットを「コントロールポイント」といい、このドットを上下に動かすと画面が明るくなったり暗くなったりすることがわかります。
こうして適当に1点だけ選んでグリグリ動かしていると、何やらわけがわからなくなることが多いので、直線上の“3カ所”を選んで動かしてみましょう。
この直線が表している意味は、直線の右上部分は画像の「明るい部分」、左下部分は「暗い部分」、そして中間部分は「中間色」を示しています。
そこでまず、直線上の明るい部分・暗い部分・中間色部分で、それぞれ任意の場所1点ずつ、計3点を軽くタップしてコントロールポイントを決めます。
タップすると線が少し動いてしまうことがありますが、気にしなくてだいじょうぶです。
そして3点のそれぞれを、少しずつ上下に動かしてみましょう。
明るい部分を動かしてみると、画面の明るさが変わるにつれて、他の2点は動かないことがわかります。
つまり明るい部分なら明るい部分を“他の部分にあまり影響を与えずに”調整できるということです。
同様にして他の2点も、それぞれ少しずつ動かして調整します。
3カ所だけ、つまり3点のコントロールポイントを動かすので、これを「3点打ち」といいます。
トーンカーブの使い方にまだ慣れない初心者の人でも、画像の変化がわかりやすいのでおすすめの操作方法です。
ポイントを増やせばさらに細かい調整ができますが、まずは「3点打ち」を覚えて使いこなし、トーンカーブに慣れましょう。
写真が際立つトーンカーブの作り方
写真にメリハリが足りないと感じる時や、境界部分の色がボケていると感じる時、これを補正するためにはトーンカーブを使うことがとても有用です。
以下に具体例をいくつかあげてみましょう。
S字型にしてみる
(画像:著者撮影)
コントラストが甘くて写真にメリハリがないと感じるときは、「3点打ち」を使ってトーンカーブを“S字型”にしてみましょう。
S字型カーブは、直線の右上部分が“上がり”、左下部分が“下がる”形のカーブです。
直線の右上部分は画面の“明るい部分”、左下は“暗い部分”ですから、明るい部分は“より明るく”、暗い部分は“より暗く”なります。
まず直線上で“右上部分”と“左下部分”の適当な場所、さらに中心部分を軽くタップして、3点のポイントを決めます。
そして中心部分は“動かさず”に、右上部分を少し上げ、左下部分は少し下げます。
これでS字カーブになるわけですが、明暗のくっきりした、コントラストの高い結果が得られます。
つまり、“逆S字カーブ”にすれば、コントラストは下がるということで、S字型トーンカーブは、コントラストの調整に役立つということです。
急激なカーブにすればさらにコントラストは強くなりますが、強すぎると明るい部分は真っ白に(白とび)、暗い部分は真っ黒に(黒つぶれ)なってしまいますから、上げすぎは禁物です。
作例では“緩やかなS字カーブ”ですが、中心の中間色部分には触っていない(補正しない)ので、メインの桜の花の鮮やかさはそのままに、くっきりした青空との対比が美しい写真になりました。
さらに中心部分を動かすと中間色部分が調整できるので、彩度を変化させることができます。
緩やかなカーブにしてみる
同色系の対象物が重なるように写った写真の場合、撮影時に露出不足があったりすると、対象物が重なり合う部分の輪郭がボケてしまったり、色具合がはっきりしなくなることがあります。
そんな時、トーンカーブをどのように使って画像補正をするのが効果的でしょうか。
(画像:著者撮影)
まず初めに主観でかまわないので、画像全体の明暗と色具合を判断します。
例では、結婚披露宴という明るい雰囲気の場であるはずなのに、全体的に画面がやや暗く、赤みがかってしまっているので、背景の色と重なり合ってテーブル上の花が引き立たなくなっています。
そこで全体を少し明るくし、コントラストを整えてから赤みを抑えれば画面が引き立つと“アタリ”をつけて、トーンカーブを操作します。
この場合、「3点打ち」にこだわる必要はありませんが、最低2点を決めて調整しましょう。
最初に明るい部分と暗い部分、つまり直線の“右上部分”1/4くらいのところと“左下部分”1/4くらいのところをタップして、コントロールポイントを2点決めます。
そして画像を見ながら、画像の最も明るい部分(ナプキン)と暗い部分(背広やテーブルクロス)がちょうどよい明るさになるように、ポイントを持ち上げて明るさを調整します。
カーブは上向きに膨らんだ曲線になりますが、曲線の真ん中あたりと左側の暗い部分に打ったポイントとの間の線の角度が、かなり“立っている”ことがわかります。
線が立っているということは、コントラストと彩度が高まってしまうことを意味するので、右側の明るい部分に打ったポイントを“左へ”ずらしてやります。
こうすると左1/4あたりからの右上向きのカーブが、より“緩やか”になります。
カーブは緩やかなほどトーンのつながりが自然になるので、画像を荒らさずにトーン調整ができます。
いったんハイライトが強まって“折り目”のわかりにくくなった白いナプキンが、再びしっかり表現されているのがわかるでしょう。
(画像:著者撮影)
こうしてトーンを整えたら、赤みを抑えるためにトーンカーブのチャンネルを「Red」に切り替えます。
トーン調整で赤も明るくなっているので、明るい部分で赤みを抑えるためにトーンカーブの右上部分、1/4あたりにコントロールポイントを決めます。
このポイントをほんの少し下にさげ、次いでほんの少しだけ中間色寄りの左に寄せます。
下げ過ぎると、画面が赤の補色である緑に片寄ってしまうので、ほんのわずかにします。
カーブはほとんど直線のままのように見えますが、ほんのわずかに下向きに弧を描いた、緩やかな曲線になります。
これでメリハリを保ったまま画面は明るくなり、背広のボタンや“シワ”までわかるようになりました。
(画像:著者撮影)
修正前(上)修正後(下)
トーンカーブの曲線は“できるだけ緩やか(なめらか)にする”ことが大切です。
緩やかであるほどトーンのつながりが自然になるからです。
緩やかなトーンカーブは、色のかぶりやボケを修正するのに役立つことがわかります。
波打つようなトーンカーブを描いてみる
(画像:著者撮影)
トーンカーブはうまく使うと、これだけで通常の画像補正はすべてできてしまうほど便利なものですが、補正以外の目的にも利用できます。
たとえばコントロールポイントを3点以上取ってこれを適当に(いいかげんに)動かすと、思わぬ色合い、思わぬコントラストの画像ができあがり、SF風イメージの写真に作り変えることができたりします。
しかし、そのような“場当たり的”な使用ではなく、特定の目的を持った使い方もできます。
それはコントラストを極度に強くすることで、“画像中の隠れた部分”を見つけ出すというものです。
トーンカーブは通常はポイントを選んで操作しますが、フリーハンドで複数のポイントを上下させると、コントラストが異常に強くなったりする結果、気がつかなかった傷やホコリなどを画像の中に見つけ出すことができます。
スキャナーで取り込んだ画像などは、気付きにくいゴミが付いていたりするものなので、そんな時にトーンカーブを使うと、ゴミを見つけやすくなります。
通常はM字型やW字型のカーブを作ると、極端に明るい部分・極端に暗い部分を確認できるので、ゴミなどを見つけやすくなります。
プロ並みの写真加工ができる!おすすめアプリ4選
それではトーンカーブ機能を持ったおすすめアプリを4つ紹介しましょう。
Fotor画像加工 写真編集 & コラージュアプリ
(画像:著者撮影)
Chengdu Everimaging Science and Technology Co., Ltdが提供する画像補正・編集・加工アプリです。
明暗・色調の補正やリサイズなど、基本的な編集・加工機能とさまざまなエフェクトやフィルターを持ち、コラージュなども作れる他に、「トーンカーブ」の機能を持っています。
新たに写真を撮るか端末内に保存された写真を選び、画像の補正やコラージュを作っていくアプリとなっています。
トーンカーブの使い方
(画像:著者撮影)
アプリを立ち上げ、新たに写真を撮るか、または「編集」から端末内の写真を選びます。
プレビュー画面が表示されるので、画面下部の機能ボタンの中から「調整」を選び、さらに「曲線調整」を選びます。
このボタンはスワイプすると現れます。
画像の上に四角いマス目と右上がりの直線が表示されます。
これがトーンカーブの基本画面で、他のアプリでもほぼ同様の表示です。
(画像:著者撮影)
例で選んだ画像はコントラストがやや強すぎるので、これをトーンカーブで補正してみましょう。
「3点打ち」を使って“逆S字カーブ”を作り、コントラストを補正します。
直線の右上(明るい部分)中間(中間色部分)左下に、3点のコントロールポイントを決めます。
右上のポイントを少し下げ、中間はいじらずに左下のポイントを少し上げます。
これで“逆S字カーブ”ができ、コントラストが下がりました。
あまり大きく上げ下げしないのがコツですが、例では少し大きめにしています。
これでコントラストは下がりましたが、ラベンダーがぼやけた感じになってしまったので、トーンカーブの左下を下げてみました。
するとラベンダーもくっきりわかるようになり、全体的に落ち着いた画像になりました。
このように、トーンカーブの使い方には“原則”はありますが、決まりがあるわけではないことがわかります。
感覚的にわかりやすいアプリなので、どなたにでもおすすめです。
Snapseed
(画像:著者撮影)
Googleが開発・提供する、操作が簡単でわかりやすく、しかも多機能な画像編集・加工アプリです。
二重露出や周辺減光といった高度な機能の他に、「トーンカーブ」機能を持っています。
トーンカーブの使い方
(画像:著者撮影)
アプリを立ち上げ、スタート画面のどこでもタップすると端末内の画像が表示されるので、補正したい写真を選びます。
プレビュー画面と共に表示される画面の下部から「ツール」を選び、さらに表示される機能ボタンの中の「カーブ」を選んでタップします。
すると画面の右下にトーンカーブの基本画面が表示されます。
山のようにグレーで表示されているのは「ヒストグラム」です。
ヒストグラムは画像中の各色の濃淡を、明るさのレベルごとにグラフ化したもので、右側が明るい部分、左側が暗い部分を示しています。
例に選んだ画像ではコントラストが高いので明るい部分が多く含まれており、ヒストグラムでは右側に山が高くなっているのがわかります。
ヒストグラムも重要な要素に違いありませんが、トーンカーブを操作するにあたり、とりあえずはあまり気にしなくてだいじょうぶです。
画面左下の「チャンネル」から、「RGB」「赤」「緑」「青」「明度」が選べますが、トーンカーブは3色同時に調整するのがまずは基本ですから、「RGB」を選んでおきます。
(画像:著者撮影)
例に選んだ画像はコントラストが高すぎて、テーブルに並んでいるのがカレーとナンであることくらいしかわからないほどです。
この写真を、トーンカーブを使って補正してみましょう。
元画像のコントラストが高いので、基本は3点打ちの“逆S字カーブ”です。
直線上に、右上、中間部、左下と、3点のコントロールポイントを決め、中間部は動かさずに右上のポイントをやや下に、左下のポイントをやや上に持ち上げます。
あまり大きく上下させないのがコツです。
これだけで、テーブルに並んでいるのがカレーとナンとご飯、そしてアイスクリームのように見えたものがマッシュポテトであることがわかるようになりました。
ただこれだけでは画像にメリハリがないので、中間部分を少し下げ、そのまま少し右へ動かしてみると、画面にメリハリが出て色具合も程よくなりました。
このようにトーンカーブは、画面を見ながらポイントを動かしてみることで、画像を自由に補正できることがわかります。
非常にわかりやすく使いやすいアプリなので、どなたにもおすすめです。
Snapseed 公式サイト(ヘルプセンター)
MaxCurve
(画像出典:https://itunes.apple.com/jp/app/maxcurve/id1048026594)
iOS専用の有料アプリでトーンカーブ機能を持ち、Photoshopとの連携も考慮された写真編集・加工アプリです。
新たに写真を撮るか、ギャラリーから編集したい写真を選んで編集・加工します。
ギャラリーは多数のユーザーが編集・加工した写真を閲覧できるページで、これらの写真を見たり自分の編集に使ったりできるので、トーンカーブの勉強に役立ちます。
もちろん自分の端末内からも、加工したい写真を選ぶことができます。
加工したい写真を読み込むと、画面下にたくさんの編集機能ボタンが表示されます。
これらの中に「RGB」と「CMYK」というボタンがありますが、「CMYK」とは“色の3原則”を用いたカラー表現で、カラー印刷などに使われます。
シアン(C)マゼンタ(M)イエロー(Y)とブラック(K)で、プリンターインクなどにこの表示を見たことがあるでしょう。
光の3原則(RGB)ではすべてを混ぜ合わせると“白”になりますが、色の3原則(CMY)ではすべてを混ぜ合わせると“黒”になります。
しかしカラー印刷では、すべてを混ぜ合わせても自然な黒にはなりません。
そこで、カラー印刷では黒(K)が追加されています。
3原則を用いたカラー表現としては理屈は同じですので、通常は「RGB」を選んでトーンカーブ機能を用いましょう。
トーンカーブの使い方は、他のアプリとほとんど変わりません。
「RGB」(3色同時)「R」「G」「B」とチャンネルを選べますが、通常は「RGB」を選んでトーンカーブを調整することになります。
このアプリは、追加課金するとプロが作成・使用したカーブをプリセットフィルターとして使えるようになります。
画像の条件さえ合えば、1発加工も可能になるので検討する価値があります。
Photoshopとの連携が考慮され、「CMYK」モードもあるので、カラー印刷を業とする人にもサブツールとしておすすめできるアプリとなっています。
Adobe Lightroom CC
(画像:著者撮影)
Adobe社が提供する、写真撮影・編集・加工アプリで、充実した機能を持ち、トーンカーブも使えるモバイルアプリです。
Photoshopとの相性もよく、有料のプレミアム機能にアップグレードするとPC版アプリやクラウド上での作業と同期できるので、ぜひアカウントを取って利用することをおすすめします。
アカウントを登録してログインすると、新たに写真を撮るか端末から写真を選ぶかの画面が表示されるので、どちらかを選んで操作します。
選ばれた写真は「すべての写真」という、アプリ内の一時フォルダーに追加されます。
トーンカーブの使い方
(画像:著者撮影)
加工する写真を選ぶと、画面下に機能ボタンが表示されるので、「ライト」をタップし、次いで「カーブ」をタップすると、プレビュー画面の上にトーンカーブが重ねられて表示され、これがトーンカーブの編集画面(初期画面)です。
チャンネルはデフォルトで「RGB」が選ばれており、基本的にここからスタートします。
具体的な使用方法については、記事の初めのほうでトーンカーブの説明に本アプリを使用しているので、そちらを参照してください。
操作が非常にわかりやすく使い勝手もよいので、どんな人にもおすすめのアプリです。
トーンカーブを使ってプロのような写真に加工しよう
トーンカーブは本来であれば、「光の3原則」などの理論や画像補正の基礎などを知っていたほうが、高度な応用ができるツールです。
しかし実際には、画像を見ながら“感覚的に”操作できるツールなので、とにかくいじり倒して、体で覚えるのがトーンカーブを使いこなす近道です。
トーンカーブを使いこなせるようになると、画像補正はほとんどこれだけでできてしまいます。
全体・赤(R)・緑(G)・青(B)とそれぞれ別々にも調整できるので、赤みがかった画像、緑みがかった画像、青みがかった画像など、いわゆる“色かぶり”を補正するにも便利です。
トーンカーブを覚えて、ぜひすばらしい写真加工に挑戦してみてください。