お店のBGMで流す音楽に注意!フリーで流せるおすすめ音楽アプリ2選
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- 1. 知らなきゃ損!店内BGMを好きに流すとNGなワケ
- 2. お店で自由にBGMを流すにはアプリが便利!おすすめ2選
- 3. USENとアプリどっちがお得?
- 4. 著作権をクリアして自由に店内BGMを流そう!
目次
コーヒーショップやレストラン、ブティックなどに入ると、ほとんどのお店の店内にはBGMが流れています。
好みの曲や知っている曲が流れると、ついうれしくなったりするものです。
ふだんは何気なく聴いていることの多い店内のBGMですが、これからお店を開く計画がある人は、気をつけておかねばならないことがあります。
それは「著作権」と「著作権法」です。
そこで今回は「著作権」と「著作権法」について解説し、これらを心配せずにBGMとして使える音楽アプリを2つ選んで紹介します。
1. 知らなきゃ損!店内BGMを好きに流すとNGなワケ
これからお店を開く計画がある人は、店内でBGMを流すことを当たり前のように計画に入れているでしょう。
しかし、手持ちのCDや新たに購入したCDの曲をそのまま流したり、最近増えているストリーミング配信される音楽をそのまま流すと、問題が起こることがあります。
音楽や絵画、小説、映画、ドラマ、建築物など、およそあらゆる「人が表現・創造して作品となったもの」(著作物という)には“自動的に”「著作権」が発生します。
著作権はその著作者に与えられる権利で、「著作権法」によって守られています。
今書いているこの文章にも著作権があると聞けば、驚く人も多いのではないでしょうか。
そしてBGMの音楽は“著作物”ですから、BGMには“著作権がある”ということです。
ですからこれを好き勝手に流すことは著作権の侵害となり、著作権法に違反するということなのです。
音楽の場合、著作権は著作者自身ではなく、著作者から著作権を譲渡、あるいは管理を委託された音楽会社(一般的にはその著作者が帰属する音楽レーベル)が持っていることが多いです。
著作権に類似したものに「知的財産権」というのがありますが、これは“登録”しなければ発生しません。
1-1. CDを自由に流したらなぜいけないの?
お金を払って購入したCDなのにどうしてこれを使ったらいけないのか、という疑問を持つ人が多いのではないでしょうか。
これには主に2つの理由があります。
まずひとつは、著作権法第22条に「演奏権」という規定があり、「演奏権は著作者に帰属」しています。
著作物を著作者以外の人が公衆に聴かせる目的で演奏するときは、演奏者は著作者から許諾を得なければならないのです。
そしてこの“演奏者”の中に、実際の演奏家だけでなくCDやレコード、ミュージックテープや音楽アプリ、パソコンを使った音楽再生など、幅広いものが含まれています。
したがってCDを自由に流すことは、演奏権の侵害になるので違法となります。
ふたつ目は、“CDを購入した”といってもCDに収められた楽曲を著作権ごと丸ごと買い取ったわけではないのです。
CDは、著作者が著作物を公表するために、著作者の許諾を得たCD製作者が作るもので、その用途は「個人が個人として楽しむ」という“個人利用”が前提になっています。
したがってCDを自由に流すことは広く大勢が聴くことになり、個人利用の範囲を超えるので違法となります。
1-2. YouTubeは使える?
YouTubeをはじめとする動画配信サイトにアップされている音楽動画を、店舗用BGMに使うことはできません。
YouTubeには“違法にアップロードされた動画”が存在し、もしうっかりこれをダウンロードしてBGMに使うと、「違法ダウンロード行為」と「著作権法違反」のふたつを同時に問われる恐れがあります。
また著作権法には「著作隣接権」というものが規定されており、実演家やレコード製作者等にこの権利が与えられています。
動画配信サイトにはこうした実演家(つまりアーティスト・ミュージシャン)の演奏動画も多数投稿されているので、これらを無断で使ってしまうと“著作隣接権に抵触する”ことになります。
さらにYouTube動画をBGMに使うには、パソコンやスマホにダウンロードしてから使うことになりますが、ダウンロードするとは“複製(コピー)を作る”ということです。
著作物の複製は「私的複製」に限って許されるので、多数の来店者が聴くことになる店舗用BGMでは、多くの人に聴かせる目的と解釈され、私的複製とは認められないのでやはり使うことはできません。
したがって店舗用BGMにYouTube動画を使うことはNGだということです。
1-3. ストリーミング系音楽アプリは自由に流せる?
結論から言うとNGです。
最近は月に一定額を支払うことで、多くの楽曲を自由に聴ける「ストリーミング型音楽配信サービス」が増えています。
このサービスにおいて著作権問題がどうなっているかといえば、配信業者はあらかじめ著作者(または著作権管理者)と包括契約を結んでおり、許諾料を支払っています。
そしてこのサービスのユーザーたる個人は、その許諾料の一部を「負担相当額」として業者から求められ、これに応じてユーザーが支払うのが「月額使用料」というわけです。
するとすでに著作権問題はクリアされているということなので、ストリーミング系アプリはBGMに使ってもよいという考えが出てくるのは当然でしょう。
しかし見逃してはならない点があります。
それは、ストリーミングサービスはあくまで“個人としての使用”が前提であるということです。(利用規約に明記されている)
また著作権法上でも、著作物は「個人が個人として楽しむ場合のみ、自由な視聴や複製が認められる」ということになっています。
したがってもしこれを店舗用のBGMとして使うと、結果的に自分以外の他の大勢の来客に聴かせることになるので、アプリの利用規約からも著作権法上の決まりからも外れてしまいます。
来客に聴かせるのが目的ではなく、音楽を聴かせてお客からお金を取るわけでもないと主張しても、広い意味で集客と営利につながると判断され、法的に認められることはありません。
したがってストリーミング系音楽アプリを店舗用BGMとしてそのまま使うことはできない、ということです。
2. お店で自由にBGMを流すにはアプリが便利!おすすめ2選
CDやストリーミング系音楽アプリをBGMとして使うことは絶対にダメということではなく、“著作権問題をクリアすれば”使えるわけです。
(ストリーミング系は利用規約があるのでほぼNG)
しかしクリアするには多大な労力と時間が必要になり、金銭的な負担も多くなります。
そこで、著作権問題がクリアされ、労力も金銭的負担も少なくて済むよい方法があるので紹介します。
2-1. Simple BGM
ワールドスケープ社が提供する、著作権料の申請・支払いが不要なBGMアプリです。
提供される楽曲は「Frekul」という、同社が運営する音楽活動支援サービスに属するアーティストの曲で、日本音楽著作権協会(JASRAC)には属さないので著作権料が不要となっています。
端末とスピーカーがあれば、あとはアプリをインストールするだけで使えます。
月額使用料は500円と格安ですが、楽曲はすべていわゆるインディーズ系なので、楽曲数・チャンネル数とも現在のところ必ずしも多いとは言えません。
しかし、ヒーリング、フュージョン、ピアノ曲など、お店の雰囲気に合わせたジャンルを選ぶことは可能ですし、なんといっても著作権を気にしなくて済む点は大きな魅力です。
BGMにあまりお金をかけられないという人にはぜひおすすめです。
無料お試し期間は4時間と短いですが、これだけあればちょっとしたイベント時に試せるので、ぜひ試してみましょう。
アプリ内課金で「ずっと流し放題プラン」に変更でき、以降、月額500円の費用が発生します。
2-2. モンスター・チャンネル
(画像:著者撮影)
株式会社モンスター・ラボが提供する店舗用BGMアプリです。
端末にアプリをインストールし、手持ちの音響機器とつなげるだけで使用できます。
月額使用料は1,880円(税別)で、年契約にすると20,680円と1カ月分割引となり、さらに初月は無料となります。
著作権についてはモンスター・ラボがJASRACと契約の上でサービスを行うので、ユーザーは必要情報を登録し定額を支払うだけで、著作権許諾に必要な他の一切の手続きや手間は不要となります。
(画像:著者撮影)
邦楽 20ジャンル、洋楽 37ジャンルなど多くのジャンルと1,300ものチャンネルが用意されており、はやりのポップスからクラシック、童謡に至るまで幅広い音楽をBGMとして流すことができます。
シーンに合わせた選曲ができるので、どのような種類のお店にも、BGM用アプリとしておすすめです。
14日間の無料お試し期間があり、終了後に自動課金とはならないので、安心して試してみましょう。
3. USENとアプリどっちがお得?
以前から店舗用のBGMといえばUSENがよく使われています。
そこでUSENとこれらのアプリを簡単に比較してみましょう。
3-1. サービス内容を比較
サービス名 | 初期費用 | 料金/月 | 楽曲数 | チャンネル数 | 音楽ジャンル |
Simple BGM | 0円 | 500円 | Frekul登録曲 | 9 カテゴリ 8 ジャンル |
インディーズ |
モンスター・チャンネル | 0円 | 1,880円 | 500万曲以上 | 1,300~ | 多種 |
USEN | 20,000円~ 使用環境による 要見積もり |
6,000円程度 コースによる |
300万曲以上 | 500~ | 多種 |
3-2. まずは音楽アプリを試してみるのもアリ
コスト的に最も安く上がるのがSimple BGM、少し高くなりそうなのがUSENであることがわかります。
「Simple BGM」はインディーズ系中心の楽曲なので、いわゆるヒット曲はありません。
そのため、はやりのポップスなどをBGMに使うことはできませんが、インスト曲(歌なし)が多いのでBGMとしてかえって適した、“よい意味で目立たない楽曲”がそろっています。
そして“著作権を気にせずに低額で”使えることが何よりの魅力です。
「モンスター・チャンネル」は楽曲数がUSENよりも多く、幅広いジャンルの中からBGMを選べます。
チャンネル数がUSENより多い点も特徴で、これはユーザーがお店の状況やシーンに合わせたBGMを選べるようにする、アプリ側の仕様上の工夫です。
さらに、お店に適したチャンネルを探しやすくする「簡単おすすめ検索」が、公式サイト上に公開されています。
「USEN」はその長い歴史から音楽に関するさまざまな経験を持っており、単にBGMを流すということだけでなく、お店の雰囲気やシーンに合わせたBGM環境をどう作るかなどのノウハウも提供してくれます。
そういったことにお金をかけるのもよいでしょうが、どんなお店でも常にコスト的に余裕があるわけではなく、BGMにはあまりお金をかけられないという状況は多いのではないでしょうか。
そんな時はぜひ、BGMアプリの使用を検討してみてください。
4. 著作権をクリアして自由に店内BGMを流そう!
最近は、無料あるいは少額の定額負担で自由に音楽を楽しめるストリーミング型音楽アプリや、ハイレゾCDという従来よりも高音質なCDが広まってきています。
こういったものをうっかりそのまま、BGMとして店舗で使うと、音楽には著作権があるので著作権法に触れてしまいます。
知らずにそのまま使っていると、高額な許諾料の請求を受けたり、場合によっては裁判になってしまうこともあります。
そんなことにならないように、著作権と著作権法を理解し、著作権がクリアされたアプリを使って、お店のBGM空間を快適なものにしてはいかがでしょうか。